DAISUKE MAEDA

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2017年11月の投稿一覧

idolとicon

この前から本屋さんで「乃木坂文庫」なるコーナーを見かけるようになりました。人気の乃木坂46のメンバー1人1人が文庫本のカバーを飾っています。計46作品。中には芥川龍之介や遠藤周作の文庫もあります。芥川の「藪の中」の表紙が乃木坂か。。。すごいな、広告代理店。調べてみると普段より売れているようですね。

スクリーンショット 2017-11-25 17.04.27

カバーの写真の構図やそれぞれの表情が似たようなものだからなのか、グループとしてメイクや衣装で統一感を出している為なのか、アイドルに興味の無ければ「みんな一緒に見える…」と思ってしまいます。

一方で、彼女らの個人名を検索すれば、それぞれ別の結果、事柄が出てきます。グーグルは区別がついているのですね。という事は、彼女らが「みんな一緒」ではなく、社会の中でそれぞれ影響力と差異、固有名詞をもった有名人である事を示しています。当たり前か。そうでなければ広告代理店が文庫の表紙にしよう!とはなりません。現にアイドルが好きな人達は簡単に誰が誰か見分ける訳ですし。逆に、そこにある差異に気付けないこちら側に問題があるのかもしれません。「みんな一緒に見える」という感想こそ、(アイドルに興味の無い人達が持つ)最も一般的、定型的で、数多い感想です。

そこまでぼんやり考えた時に「そんなありきたりな感想しか出てこん自分のレセプターこそ『みんな一緒』の量産品か…他の皆が口にする、誰が言ったんかさえもわからんようになるみんなと一緒の感想を言葉にして口にしてしまった…」と思い至りました。普通に社会生活を送っている以上、思考パターンも感覚もある程度「みんなと一緒」であることから逃れられる訳が無いのに、絵を描く人間はすぐそういう風に考えます。

Leonardo_da_Vinci_(1452-1519)_-_The_Last_Supper_(1495-1498)

ある人にはとても大切なものに思え、ある人には何一つ意味を持たない。そう言えばアイドルの語源を辿ればidol=偶像となり、さらに遡ればicon=聖像の語源とも重なります。中世の人たちも十二使徒を眺めながら「みんな雰囲気が似てて区別がつかん…」「この中の誰がヨハネよ?」とか「イスカリオテのユダなら分かる!」とか言ったんでしょうか。「エル・グレコの描くヤコブは今までで一番かっこいい!」とか信仰の浸透を手助けしたのかも知れません。

時代が進んでも偶像の機能の仕方って根本的にあまり変わらないんだなぁと思った話しでした。