DAISUKE MAEDA

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2019年11月の投稿一覧

パンの森で買おう

もう随分前から高級食パンが人気らしい。私も勧められたり、頂いたりしていくつかの有名店の食パンを食べた。しっとりしていて柔らかく、おいしい。思わず日常の些事一切を忘れるような、食パンなのに甘くて、とても幸福な味である。未だによく行列が出来ているのを見かける。

おいしいのだが、中には甘すぎるくらい甘い物もあり、なんというか、それは小麦の甘さだけではないのである。これ何か入ってるよな?と思い、調べてみると生クリームを入れてる店もあるようだ。バターの香りも強く、味がとてもしっかりしている。「おいしい」というものが分かり易く演出されており、まあこれは人気が出るのもうなずける。おいしい。

ただ、好みの問題かも知れないけど、私はもう少し「水っぽい」というか、もっと味の薄いパンが好きである。そう言ってしまうと誤解されそうなのが、表現の難しいところだ。毎日食べても胸焼けしない、飽きのこないパンが好きなのだ。バターや生クリームよりも、小麦そのもののほのかな甘さを感じながら食べるパンが好きで、こってりした味やはっきりした香りより、食べた後に口や胃がすっきりしているほうがいい。毎日食べる食パンなら尚更である。

大阪のJR鶴橋駅から徒歩3分ほどのところに「パンの森」というパン屋さんがある。昔は御幸森にあったが何年か前に移転した。ローカルな地名ですまない。きちんとした素材を使い、きちんとした手順を踏んで作られた真っ当なパンがとても安くで売られていて私は好きなのだが、失礼ながら最近の高級食パンに押されているようにお見受けする。

なので少しここで宣伝したい。私としては、「パンの森」は美味しいのでもっと繁盛してほしいし、大阪の人はぜひ買いに行って欲しい。安くて美味しいパンを毎日食べる事ができるのは幸運なことだ。私としてはこの幸運を失いたくない。裏通りの小さな店だが、かわいい看板が出ているのですぐ分かるはずだ。

何と言っても食パン一斤280円である。安い。その上ジャムを塗っても美味しいし、トマトで作ったソースを塗っても美味しい。作り立てなので、ついでに鶴橋商店街の八百屋で野菜を買って帰ればサンドイッチにして耳まで食べれる。

例えば、福島パネ•ボルチーニの塩フォカッチャとか、西梅田ブルディガラエクスプレスのカレーパンのような名物的なパンは無い。あれはあれでとてもおいしいけれど、味が濃いので毎日は食べれない。

これはインスタでいいね!なかんじとも、分かり易い「おいしさ」とも違う、もちろんキャピタルな方向とも全く違う。

ただ日常の些事一切を見つめながら、苦いコーヒーと一緒に黙々と食べる、そんな血肉を作る毎日の食べ物の話なのである。