*前回からの続き
「紅葉見に行こうやって誘われたー!!」先日、お昼を食べていた時のことである。一緒に食べていた女の子が突然言った。聞くと、ある男に京都に紅葉を見に行こう、と誘われたらしい。その女の子は見るからに嬉しそうだった。私は、その子自身も好意のある人から誘われたのだと思い、良かったやん、と軽く言ってみた。しかし、その女の子は、「紅葉には一緒に行くけどー、その男からの好意自体はどうかなぁー、あんまりかっこよくはないんよなぁ!京都行ってからその事を相手にゆうわぁ」と言い出したのである。「いや、京都行かんでも先言えるやろ!」と私は言った。
しかし、その女性は次の言葉で、「何を着て行ったら良いと思う?」と言ったのである。完全に舞い上がっている。「知らんわ、何でもええんちゃん?どうせ振るんやろ?」と言いかけて私は、そういえば男同士で、好きな女の子とどっか行きたいなー、どうやって声かけよ?と話になることは多いが、女の子側の話はあまり聞かへんな、と思ったのである。そう考えると非常に興味が湧いたのである。しかもせっかく男に誘われたのに、それを振ろうという見た目普通の女の子である。後学のためにも知っておかねばならない。
「やっぱワンピースやろ!男と二人で出かけるんやったら!」と私は相手に提案してみた。好きな男の前でないと、あんな動きにくい服は着えへんやろ、相手の男を、期待させてめっちゃ空振りさせたろう、と私は考えたのだ。性格の悪いやつだ。するとその子が「せやろ、普段より、女っぽい服にして、期待させてから振りたいんよ!」と力強く乗っかってきた。そして、「靴どうしょうかなー、やっぱ華奢なヒールがいいよなあ、歩きにくいけど、ヒールやと階段なんかで男も手を差し出すよなぁ、車の乗り降りも自然と男がドアを開けて、支えてくれんちゃん!?」と言った。あまりの舞い上がりっぷりに、私は「いやー、スニーカーでええんちゃう?ヒールなあ、まあ確かに道の悪いところやと、まあずっこけかければ支えてくれるかもなぁ、まあ相手次第ちゃうのん?」と言うのが精一杯だった。
二人で京都に出かけ、紅葉ではしゃぎ、普段より親密な雰囲気でその女の子と接し、町家を改装した趣のあるお店で食事をしたぐらいのところで、その男は見事に振られるのである。しかもどうみても、早く好意を告げてほしい、と言っているような女の子に、である。そして女の子は言うのだ。「まさかさぁ!そんな好意を持ってもらってるんやなんて、全然気付かんかったー!!笑。ごめんなぁ!!けどウチよりもっとええ人おるって!!ウチはあんたが思ってるようなんじゃないよー。」そして、別れ際「友達として、あんたのことが大切なん、これからも仲良くしてな。」と言って締めくくりたいらしい。私なら京都に捨てて帰る。
こんな新喜劇みたいなノリで、相手の好意を踏みにじって、許されるのは誰もいない。私は自分が女でなくてよかった、と思った。
*この話は先日自分の身の回りで起こったことを標準語と大阪弁で記述し、比較したものです。同じ日本語なのにキャラクター造形から、登場人物の関係性まで全然違う…
大阪弁は、真実を語るのに向いていない言語ではないかと思った、という話でした。